そして、ゆらゆら帝国は伝説となった。それは、2010年3月31日。誰もがもう2度とライヴを観られないことを無念に思い、誰もが彼らの新作が永遠に届けられなくなったことを嘆いた日。そう、自身のウェブサイト上で突然発表された〈解散〉。〈「空洞です」の先にあるものを見つけられなかったということに尽きると思います。ゆらゆら帝国は完全に出来上がってしまったと感じました〉(原文ママ)——だが不思議なことに、リスナーのほとんどがそこに疑問を持つことはなかった。むしろこれまでの軌跡は讃えられ、メンバーへの感謝の言葉が途絶えることはなかった。卒業していく者を清々しく送り出すかのように、〈ハレルヤ!〉と。 しかし、ゆらゆら帝国が誕生した時、20年後はこのような存在になると誰が想像しただろうか。筆者はたまたま結成当初の彼らのライヴを観ているが、まだドロリとしたアンダーグラウンド色の強いサイケデリックな演奏に強く惹