(1)フォールト・ラインズ(ラグラム・ラジャン著、伏見威蕃・月沢李歌子訳、新潮社・1995円) (2)国家は破綻する 金融危機の800年(C・M・ラインハート、K・S・ロゴフ著、村井章子訳、日経BP社・4200円) (3)ザ・ラストバンカー(西川善文著、講談社・1680円) ◇ 今年は金融関係書3冊。2007年からの金融危機に関する出版が依然として多い。外国語の書物ばかりに良いものが目立つのがやや残念だが、その中で(1)は金融危機の技術的側面だけでなく、政治・社会的な面まで掘り下げた好著。訳にやや難があるのが残念。(2)は何世紀もの金融危機に関する歴史的な経験則を詳細なデータで浮かび上がらせた。金融危機が財政危機に波及するという傾向も指摘し、今回のヨーロッパ危機の予言にもなったと話題の書物。(3)は、元メガバンクトップの回顧録だが、日本の銀行経営、金融行政、政治と金融のかかわり等について興