来る月曜日、1月17日に第146回芥川賞・直木賞が発表される。ご存じの通り、出版界最大のお祭り騒ぎの幕開けである。 このときだけはマスメディアが、あるかないかわからない「文壇」をあることにして大騒ぎする。お祭りはいいね、楽しいから。 でもいちばん楽しいのは、自らそのお祭りの中に飛びこんでみることだ。自分でも候補作を読んで「心の受賞作」を決めてみるのである。楽しいよ、これ。 以下に芥川賞候補5作のレビューを記載する。ぜひ、お祭り参加の参考にしてもらいたい。ちなみに予想は大森望・豊崎由美両氏の「メッタ斬り」チームにお任せして、私は楽しむことに専念させてもらいました。ではいくよ。 *1/17の芥川賞直木賞の受賞作発表をうけての感想レビューはこちら 「きなりの雲」石田千(「群像」10月号掲載) 小説の主舞台は築47年という古いアパートだ。主人公のさみ子は、時代の流れに取り残されたようなその建物で暮