本稿はブログ「みちくさのみち」からの転載である。「みちくさのみち」は歴史学を中心に、人文学や教養に関する読み応えのある記事を特徴とするブログ。本稿で紹介するのは高校で学ぶ歴史と大学の歴史研究の違いについて綴ったエントリだ。専門家はもちろん、歴史に関心のあるすべての方に読んでいただきたい記事である。 またも同僚との会話で恐縮なのだが、「日本史を研究するって具体的にどういうことなんですか。もうあらかたのことはわかっちゃってるんじゃないですか、とくに最近のことは」ということをたまに言われる。 たぶん私だけでなく、歴史学を専攻していた人は、同様の経験をお持ちなのではないかと思う。別に同僚や友人だけでなく、私は親にも言われる。そしてそのたびに「こんなにも理解されていない」というやるせない思いを押し殺しているのではないか。 実際この問題は大学1年生だった私を激しく悩ませた上に、なまじ概論の試験に「大学