荒井勝喜元首相秘書官の差別発言を受け、LGBTなどの性的少数者に政治がどう向き合うかが、通常国会の重要課題に急浮上した。岸田文雄首相は5月に地元の広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)を見据え、超党派で議論されてきた「理解増進法案」の成立に向けて調整するよう自民党に指示。ところが、党内の動きは鈍い。その背景は――。 「野党は夫婦別姓や同性婚と結びつけようとするが、切り離して慎重に議論すべきだ」 7日の自民党総務会。複数のベテラン議員から理解増進法案の進め方にクギを刺す発言が続いた。「体は男でも心は女だからと女子トイレに入り、それをとがめたら『差別だ』では社会が混乱する」といった指摘も出た。 前日に岸田首相(党総裁)が茂木敏充幹事長に対し、同法案の成立に向けて調整するよう指示したばかり。ところが総務会の雰囲気は約1年半前とほとんど変わらなかった。 総務会は2021年5月28日にこの法案