ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (58)

  • 良い死、悪い死、普通の死 『現代の死に方』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    死に方に良し悪しはあるのか? 書の結論は「ある」になる。 上々の人生だったのに最悪の死に方をする人もいるし、悲惨な人生だったが最期は安らかだったという人もいる。総合病院の医者である著者は、さまざまな死を扱っているうちに、ある結論に達する。それは、「死に方を助言することは、生き方を助言するくらい難しい」である。 それにもかかわらず、書を著した。理由は分かる、「悪い死に方」が多すぎるのだ。書を手にしているあいだ、「あなたは、自分の死に方について、あまりにも楽観的すぎる考えを持っているのではないか?」と問われているように感じた。どういう風に死にたいかと、どういう風に死ねるかは、全く違う問題なのだ。 普通の死 「普通の死」と言われて思い浮かぶのは何だろう。 事故死や殺害されるようなものではなく、老衰か、病気か。苦痛は無いほうがいいし、できれば自宅で、家族に囲まれ、友人に別れを告げて、惜しまれ

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    uimn 2018/12/24
  • SF読書会『ソラリス』×『ランドスケープと夏の定理』に参加したら読みたい本が激増した件について: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    SFをこじらせると哲学になる。 未来思想研究会の読書会に参加したら、おそろしく楽しかったので以下にまとめる。レジュメや板書は、[第22回読書会 テーマ:知性 『ランドスケープと夏の定理』高島雄哉×『ソラリス』スタニスワフ・レム]をどうぞ。開催された双子のライオン堂のブックセレクトが魅力的すぎて財布を守るのが大変だった(ここでオフ会したいですな!)。 『ソラリス』と『ランドスケープ』の違い 『ソラリス』と『ランドスケープ』、違いを一言であらわすなら、「知性は多様か一様か」になる。「理解できない知性がある/知性は最終的に普遍性をもつ」と言い換えてもいい。わたしは、「知性に普遍性がある」というブッ飛んだ発想をボコるべく参加した。 まずソラリス。惑星の全域を覆っている知性を持つと思われる海と、その調査に訪れた人を描いた作品だ。傑作の誉れ高く、オールタイムSFベストに挙げる人も多い。いっぽうタルコフ

    SF読書会『ソラリス』×『ランドスケープと夏の定理』に参加したら読みたい本が激増した件について: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
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    uimn 2018/12/19
  • 高度に発達した科学は音楽と見分けがつかない『零號琴』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    一気に読んだ。最初は座っていたのだが、そのうち立ち上がり、ぐるぐるして、最後は叫びっぱなしだった。 何を見ても何かを思い出す これは、エヴァとゴレンジャーとプリキュアのパロディであり、ナウシカとシンゴジとシンフォギアのリスペクトであり、どれみとどろろとまどマギの同人であり、火の鳥と寄生獣と日沈没のオマージュである。ただし、どれも知らなくても無問題だ(後で説明する)。 これ、好きな人ならいくらでも幻視できる怪物で、どこを読んでも、何を切り取っても、どこかで観た・読んだ過去の作品とつながり、思い出し、いま目の前で進行する美麗で壮大で禍々しくもバカバカしい物語にオーバーラップする。 拡張現実から拡張虚構へ どっぷり漬かりながら、ふと気づく。これ、小説でARを実現した人類最初の作品ではないかと。AR、つまり拡張現実(Augmented Reality)をテーマにしたというのではなく、この怪作を読

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    uimn 2018/12/13
  • 「ネタバレの美学」が最高に面白い: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    ワークショップ「ネタバレの美学」が最高に面白かったので書く。ちなみに、togetterまとめは[ワークショップ「ネタバレの美学」2018年11月23日]にある。 「脚・虚淵玄」でも観るか? だからこそ観るのか? いま読んでる推理小説の犯人、未見の映画のラストなど、楽しみにしている作品の肝心のところをバラされたら、どう感じるだろうか? 気にしない人もいるけれど、ほとんどの人は腹を立て、バラした人に抗議するかもしれぬ。あるいは、誰かのつぶやきが目に入り、うっかりオチを知ってしまったら? いま読んでるを落としてしまい、たまたま開いたページで犯人を知ってしまったら? もっと言うと、明らかにネタバレ(に見える)展開を、当の公式サイトで明かしているならば? 監督がノーランとか、脚が虚淵と分かった時点で、「見えて」しまうから、一切の予備知識ゼロで作品に向かうことが「正しい」鑑賞なのか? でも完全に

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    uimn 2018/12/09
  • この本がスゴい!2018: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    まとめ すごく長くなったので、まとめる。まず、今年のベスト。 このがスゴい!2018のラインナップ。 このがスゴい!2018の一覧は以下の通り。 ◆フィクション 『ランドスケープと夏の定理』高島雄哉(東京創元社) 『舞踏会へ向かう三人の農夫』リチャード・パワーズ(河出書房新社) 『寿司 虚空編』小林銅蟲(三才ブックス) 『直線』ディック・フランシス(ハヤカワ文庫) 『ブッチャーズ・クロッシング』ジョン・ウィリアムズ(作品社) 『槿』古井由吉(講談社文芸文庫) 『平家物語』古川日出男(河出書房新社) ◆ノンフィクション 『知の果てへの旅』マーカス デュ・ソートイ(新潮クレスト・ブックス) 『愛とか正義とか』平尾昌宏(萌書房) 『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』吉川浩満(河出書房新社) 『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』ふろむだ(ダイヤモンド社) 『文学

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    uimn 2018/12/01
  • ビル・クリントン著『大統領失踪』が楽しみすぎる(12/5 発売): わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    大統領がたった一人でテロリストに立ち向かうエンタメ小説。どんだけ荒唐無稽だよと思いきや、たいへん具体的で、まるで見てきたように書いている。 それものはず、書いたのはビル・クリントン、第42代アメリカ合衆国大統領なり。正確には、ミステリの大御所ジェイムズ・パタースンとの共著になるが、ホワイトハウスの内部構造や、タフ・ネゴシエーターの丁々発止は、元大統領ならでは。 原著は”The President Is Missing”で、翻訳は 12/5 に出るのだが、「ダイジェスト版」なるものを入手できたので、それで読む(chicaさんありがとうございます)。表紙にはクッキリと「構成の都合上、書の結末に触れる部分があることをご了承ください」と書いてある。 じっさい、わずか100ページ足らずの中に、見どころシーンや迫力満点のアクションがてんこ盛りで、いわば映画の予告編のようなもの。唯一違うのは、結末――

    ビル・クリントン著『大統領失踪』が楽しみすぎる(12/5 発売): わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
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    uimn 2018/11/12
  • 世界文学全集の中の「日本文学」の割合は?: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    秋草俊一郎氏の「世界の中の日文学」という講演を聞いてきた[概要]。ともするとアカデミックな古臭さがつきまとう「文学」を、新しい斬り口から見せてくれる、たいへん興味深い講演でしたな。同時に、とんでもない間違いを、わたしがしていたことに気づかされた。 ■ 世界文学全集の必要性 そこに書かれている経験や感情を分かち合うことで、文学は、読み手の人生を増やす。一生を、二生にも三生にもしてくれる。ここが理解できないと、自分の経験だけを縁に、トライ&エラーのループに陥る。人生はオートセーブで、一回こっきりだけれども、「文学」がセーブポイントになる。 とはいえ、一人が一生に読める数は限られているし、星の数ある作品から何を読めばいいのか分からない。そういう悩める人のためにカノン(正典)はある、と考える。世界文学全集とは、世界の文学を編集したものであるだけでなく、文学の世界の入口にもなる。 たとえば、池澤夏

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    uimn 2018/10/28
  • 死ぬとき幸せな人の7つの共通点と、死ぬときに後悔する10のこと: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    『「死ぬとき幸福な人」に共通する7つのこと』を読んだ。末期がんなど、治る見込みのない患者の終末ケアをする医師が書いたものだ。「幸せに死ねるコツみたいなもの」は分かるし、その主張のほとんどには賛成だが、美談バイアスに陥っていることが気になる。 まず、書の主張。死ぬとき幸せな人の7つの共通点は以下の通り。 死ぬとき幸せな人の7つの共通点 自分で自分を否定しない いくつになっても、新しい一歩を踏み出す 家族や大切な人に、心からの愛情を示す 一期一会の出会いに感謝する 今、この瞬間を楽しむ★ 大切なものを他人に委ねる勇気と覚悟を持つ 今日一日を大切に過ごす 「終末ケア」として扱われる患者のほとんどは、病気がかなり進行している。身体の自由が利かなくなり、トイレや事も自力でできない場合がある。仕事を生きがいにバリバリやってきた人ほど反動が激しく、無力感に囚われるという。 そして、「人に迷惑をかける

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    uimn 2018/10/21
  • よいアニメで、よい人生を『人生を変えるアニメ』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    涙も笑いもときめきも、人生に必要な感情はアニメが教えてくれる。 べつにドラマティックに変わらなくてもいい。『ゆるキャン』観てこの冬、キャンプデビューするのもありだし、『弱ペダ』でロード買っちゃうのも変化だ。ヘコんだ気分がOPだけでUPするのもアニメの力、人生をいい風に押してくれるのは有難い。 『人生を変えるアニメ』には、そんなアニメが並んでいる。アニメ監督や声優、小説家、評論家などが、年代ジャンル問わず、気でお勧めしてくるアニメガイドなり。 書は「14歳の世渡り術」シリーズの一冊で、中高生に向けて「知ることは、生き延びること」というメッセージ性が込められている。『風の谷のナウシカ』『母をたずねて三千里』といった古い作品から、現在放映中の最新作も入り混じっているので、わたしが読むと「あるある!」「見た見た!」「見たい見たい!」とうなづくばかりの読書となる。 この世界の片隅に たとえば、斎

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    uimn 2018/10/13
  • 『財政破綻後』という奇貨居くべし: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    問題は、いつ起きるかではないし、どう回避するかでもない。起きることは必然で、そのときどんな打ち手が「いま」準備できているかだ。 だれも財政破綻を気にしていない? 財政破綻とは何か 財政破綻の始まり 財政破綻後の日 財政破綻後にやれること 切りやすいところから切る もしもゼロから作るなら 生きかたを選ぶ=死にかたを選ぶ 財政破綻という「奇貨」 1. だれも財政破綻を気にしていない? 興味深いことに、Googleトレンドを見る限り、「財政破綻」を検索している人は過去最低ラインとなっている。問題が消え去ったわけでもなく、債務は積みあがっているにもかかわらず、財政はまだ詰んでいない。 大きく2つの波がある。リーマン・ショックを発端とした2007年の世界金融危機と、ギリシャ経済破綻が大きく報道された2010年のユーロ危機だ。順番からすると次は日中国か。中国がコケて日が無償で済むはずがない。

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    uimn 2018/10/07
  • 人生を変える新書『はじめての新書』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    すばらしいブックリスト。無料で手に入るので、書店へ急げ。 好奇心の入口であり、探究心の糧であり、分野を俯瞰する丘である新書は、多種多様多量に渡る。そんな中から、何を読めばよいか、どのように選べば良いか、コンパクトにまとまっている。ここでは、以下についてまとめてみよう。 1. を探すだけでなく、人を探す 2. 人生を変える新書 3. 自分にぴったりの新書を探す方法(山貴光流) 4. 効率よく新書を読む技術(松岡正剛流) 5. わたしのお薦め新書 1. を探すだけでなく、人を探す 重要なのは、「」だけではない。作家、学者、編集者、著名人のなかでも名だたる読み巧者たちが「この新書を読め」と推してくる。そうした「人」のリストでもあるのだ。 やり方は簡単だ。 タイトルや紹介文から、気になる新書を推している「人」を選ぶだけ。すると、自分の興味を同じくする「人」のリストができあがる。そして、メデ

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    uimn 2018/10/03
  • 読書猿さんと飲んできた: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    楽しすぎる&もったいなすぎる会だった。ボイレコ録って文字に起こしたら、それだけでお金もらえるじゃね? というぐらい。 まず「読書猿さんって誰?」という人は、今すぐ[読書猿]に行って帰ってこなくてもよろしい。知らないなら人生損していると断言できるブログだ。どれか一つでもいいので実践したら、それだけで財産になる。 昨今、ハリボテの知の巨人や偽物の教養人が跋扈し、「教養」を人質にコンプレックスを煽って小金を稼いでいる。そのせいで「教養」という言葉が棄損されており、彼を何て呼べばいいか悩む。「哲人」が最適かな(鉄人にも通じるし)と思うが、人は[フィロロギスト]だという。 そんな読書猿さんから、一を投げると十ぐらい返ってくる(1)博覧強記のライトニングトークと、(2)ネットで言えない/聞けないこと、そして、わたしの課題である(3)英語力向上へのアドバイスをもらった。 5時間ぶっつづけでお話したが、

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    uimn 2018/09/30
  • 最新のアメリカの「世界文学全集」に見る日本文学: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    世界文学全集を編むとき、そこに時代や地域による自動的な選別が行われる。編者の価値観や願望が反映されたものになる。 日における「世界文学全集」では、池澤夏樹が編んだ河出書房版が新しいが、たとえばその『短篇コレクションI』だと、南米や中東、中国と沖縄など、非ヨーロッパから選ばれており、地域性フィルターが働いていることが分かる。非欧州でも(だからこそ?)こんなにも豊かな技法と発想に恵まれていることが、この一冊で分かるようになっている。 また、丸谷才一、鹿島茂、三浦雅士の鼎談をまとめた『文学全集を立ちあげる』では、いわゆるカノン(正典)を示し、(読むにも書くにも)文学の技法を拡張する100冊が紹介される。面白いのは、日であれ世界であれ、村上春樹の作品を執拗に全集から外そうとしているところ。日の評論家では評価できないのであれば、むしろ世界文学全集に入れるのがふさわしかろうに。 反対に、海外では

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    uimn 2018/09/24
  • 「見る」をアップデートする『名画読解』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    マルセル・プルーストの「真の発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。新しい目で見ることなのだ」を実現する一冊。これを読むことは、新しい目を手に入れる旅といっていい。 きっかけはこのツイート。 読書猿先生が紹介した『名画読解』はdainさんで言うスゴなり(私見)。dainさんの書評で、新しい目を提供するのがスゴだと言っていたが、このは身体としての眼そのものが変わる実感を得られた。世界の解像度が上がって見えるので是非読んでほしい。教養(雑学)の美術ではなく、観察としての美術 — ぶんもう (@sikoubox2357) 2018年8月17日 読書猿先生が紹介した『名画読解』はdainさんで言うスゴなり(私見)。dainさんの書評で、新しい目を提供するのがスゴだと言っていたが、このは身体としての眼そのものが変わる実感を得られた。世界の解像度が上がって見えるので是非読んでほしい。教

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    uimn 2018/09/22
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    マルセル・プルーストの「真の発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。新しい目で見ることなのだ」を実現する一冊。これを読むことは、新しい目を手に入れる旅といっていい。 きっかけはこのツイート。 読書猿先生が紹介した『名画読解』はdainさんで言うスゴなり(私見)。dainさんの書評で、新しい目を提供するのがスゴだと言っていたが、このは身体としての眼そのものが変わる実感を得られた。世界の解像度が上がって見えるので是非読んでほしい。教養(雑学)の美術ではなく、観察としての美術 — ぶんもう (@sikoubox2357) 2018年8月17日 読書猿先生が紹介した『名画読解』はdainさんで言うスゴなり(私見)。dainさんの書評で、新しい目を提供するのがスゴだと言っていたが、このは身体としての眼そのものが変わる実感を得られた。世界の解像度が上がって見えるので是非読んでほしい。教

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    uimn 2018/09/22
  • スゴ本オフ「のりもの」が熱い!

    好きなを持ち寄って、まったり熱く語り合う読書会、それがスゴオフ。に限らず、映画音楽ゲームなんでもよく、好きな作品でつながりあう。「好き」を介して人と出会い、人を介して「好き」を広げる場なんだ。 たいていは「テーマ」を決めて、そのテーマにちなんだ作品を持ち寄っている。もちろんストレートに思いついた作品もいいし、ひねったりコジツケてもOK。「なんでソレにしたの?」という疑問に答えることが、その作品の最高の紹介になるかもしれない。 今回のテーマは「のりもの」。クルマや電車といった「乗り物」や、雑誌や新聞を「載りもの」にしてもいいし、最近ノッてる音楽もあり。いろいろな「のりもの」が集まって、子どもから大人まで、熱く楽しい日曜の午後でしたな。 新幹線大爆破 めちゃくちゃ笑ったのが、ズバピタさんが紹介した映画『新幹線大爆破』。 東京発博多行きにひかり号に爆弾が仕掛けられ、時速80km以下にな

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    uimn 2018/09/20
  • 子どもの目に触れさせないようにしていた作品

    結論から言う、見せたいものは隠せ。 子どもは、親の言うことなんて聞かない。これには「絶対」をつけてもいい。幼少ならともかく、成長につれて親の言うことには、反発する・無視する・聞き流す。 ただし、親の「する」ことはマネする。ここテストに出るところ。子どもは、親の「言う」ことは聞かないが、親の「する」ことはマネをする。 だから、親が「これ、好きになってほしいな」と思うものは、そのまま言っても聞かない。反対に、親が好きな「これ」を、子どもの目に触れさせないようにして、コッソリ楽しむ。すると、子どもはどこからか嗅ぎつけて、手に取ってみるのである。 「トットちゃん」より「鬼畜」好き わたしが嗅ぎつけたのは、『化石の荒野』『鬼畜』『人間の証明』だった。親からすると、『窓際のトットちゃん』『星の王子さま』『はてしない物語』を読ませたかったらしいが、そんな「オモテの」よりも、親の棚から盗み読みした西村

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    uimn 2018/09/15
  • 人間が「どうなっているか」と、人間が「どうあるべきか」の間で問いつづける哲学『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』

    人間が「どうなっているか」と、人間が「どうあるべきか」の間で問いつづける哲学『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』 わたしの人間観を更新する一冊。 もっと正確に言うと、進化心理学・行動経済学・認知科学の研究を通じ、わたしが抱いている「人間とはコレコレである」人間観がアップデートされつつあることを教えてくれる。 書は、吉川浩満氏の論文・インタビュー集である。発表媒体によりモチーフは異なれど、テーマは「人間とは何か?」になる。「人間とは何か?」という問いかけを、「人間がどのように”見える”か?」という人間観にした上で、その変遷を、人工知能、認知バイアス、利己的遺伝子、人新世という様々な斬り口から掘ってゆく。 よくあるサイエンス・ノンフィクションと異なるのは、「(人が)どうなっているか」の科学的解説に、道徳哲学の「(人が)どうあるべきか」議論をぶつけているところ。おかげで、認知科学の進展を

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    uimn 2018/09/05
  • これが教養だ! 『これは水です』

    書店に行くと「教養」を謳う雑誌やの多いこと。 ひと昔前のマジックワード「品格」「大人の~」と一緒やね。来ソレが足りなかったり欠けていることを指摘して、その雑誌なりを「買う」ことで補完できるというレトリック。あるいはソレに価値を見いだしている自尊心をくすぐるテクニック。騙されるほうが馬鹿なんだが、わたしもよく騙される(レジまで騙されたら負け)。 つまり「教養」を人質に、コンプレックスを煽るビジネスなのだ。 エセ教養人の手口 「ビジネスリーダーに求められる教養」とか「人生を豊かにする教養」という惹句で、人間関係を円滑にしたり信頼関係を築くためのツールとしての「教養」が重要だという。で、よくよく聞いてみると、ただの雑学や豆知識だったりする。要するに、アイスブレイクや知的マウンティングに使える小話のことを、「教養」と呼んでいるにすぎぬ。 そうやって「教養人」を名乗り、まとめサイトやWikip

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    uimn 2018/09/02
  • ボランティア奴隷は作れる『自発的隷従論』

    習慣化された奴隷は、自ら支配されたがると喝破した小論。ボランティア奴隷の作り方も書いてあるのでJOCや為政者は必携やね。 著者はエティエンヌ・ド・ラ・ボエシ、モンテーニュの無二の親友だったという。500年前の文章なのに、いま見てきたように生々しい。というのも、いまの日の政権や2020オリンピックのボランティア奴隷のみならず、君主制、民主制、共和制、独裁制どれにでも当てはまる。なぜなら、焦点が当たっているのは、政治制度ではなく、その下で積極的に奴隷になる民衆たちだから。 著者はいう、民衆自身が、抑圧されるがままになっているどころか、あえて自らを抑圧させているのが現実になる。隷従をやめるだけで圧政者は屈するのに、わざわざ悲惨な状況を求め、軛を差し出しているという。そして、身にまとう軛を自慢し、父祖からそうしてきたことを誇る、いわゆる「奴隷の鎖自慢」をするのは、なぜかと問いかける。 そして、2

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    uimn 2018/09/01