われわれは注意力で世界を見ている。たとえば自分の部屋において、どれをどの場所に配置するというのは注意力だ。爪切りを押し入れの奥には仕舞わない。電気カミソリをどこに置くかと考えたら、洗面台の横か、そうでなくとも、毎朝手に取りやすい位置に置くことを考える。卒業アルバムなら、押し入れの奥とか、出しづらいところに置く。それぞれの道具が持っている特性から考えて、ちょうどいいところに配置していくのだ。ビールの空き缶だって、置く位置はだいたい決まっている。そのスペースにひとまず並べておいて、あとでゴミ箱に捨てる流れがあるわけだ。 有村悠さんは、このような位置関係をまったく把握していない。だからゴミ屋敷が見事に完成するのである。注意力がないから、目の前以外はまったく見えていない。彼の周辺には秩序がなく、荒廃するばかりである。金銭感覚の破綻も同じ問題だ。電話がいつ止まるか心配してるのも、頭の中で注意を喚起し