批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * テレビ朝日が公開した報道番組「報道ステーション」のウェブCMが「炎上」した。3月22日の公開直後からSNSで激しい批判を浴び、1日強で撤回となったのである。同局は担当役員らを厳重注意としたことを発表した。 なにが起きたのか。CMは若い女性がカメラに向かって話しかけるスタイルで撮られていた。せりふのなかにジェンダー平等を掲げる政治家への揶揄(やゆ)があり、女性支援に逆行すると問題になった。報道ではそれが撤回の理由とされている。 とはいえ問題の本質はより根深い。SNSで反発を招いたのは文言だけではない。制作者は「報道番組を見そうにない人々」の代表としてなぜ若い女性を起用したのか。その判断も問われていたのである。 これは目に見える差別ではなく、いっけん見えにくい「