著者(野口悠紀雄氏)と最初に仕事でつきあったのは、バブルがピークにさしかかっていた1990年ごろだった。特に印象に残っているのは、1992年にNHKスペシャル「追跡・不良債権12兆円」をつくったことだ。 スタジオには野口氏と全銀協の会長が出演する予定だったのだが、会長行(三菱銀行)の企画室が「タイトルから『不良債権』という文字をはずせ」とか「野口氏は銀行に好意的でない」とか文句をつけたあげく、収録の3日前にドタキャンした。私もいろいろ非常識な出演者につきあったが、山口組でも彼らより紳士的だった。そのときの企画室長が、三木繁光氏(現三菱東京UFJ銀行会長)である。 スタジオで、野口氏が「これからは銀行も倒産する時代だ」と言ったら、収録に立ち会っていたニュースデスクがあわてて「銀行の倒産というのは不穏当なので・・・」とNGを出し、「銀行の経営が行き詰まることもありうる」と変更した(当時はま