現代物理学は、この宇宙はどんな基本粒子が、どのような力で結びついてできているかを説明する精緻(せいち)な「標準理論」を追い求めてきた。3氏のノーベル物理学賞受賞は、物理学の王道ともいえるこの基本理論の確立に、日本の物理学が大きな貢献を果たしたことを示すものだ。 南部氏は米シカゴ大教授だった1961年、低温で物質の電気抵抗がゼロになる超電導の理論をヒントに、「対称性の自発的破れ」という考え方を編み出し、それを素粒子物理学に応用した。これは、なぜ物質が質量(重さ)を持つのかという根源的な疑問に解答を与える画期的なもので、「標準理論」のおおもとを生んだ。 小林、益川両氏が受賞した業績は、基本粒子のクォークが3世代6種類以上だと「粒子のCP対称性の破れ」が説明できるとする「小林・益川理論」だ。1973年2月の論文で発表した。 物質は原子からなり、原子は陽子、中性子、電子といった粒子で出来ている。そ