旧フランス大使館において開催された 『NO MAN'S LAND』(2009/11/26~2010/2/18開催) の展示を見てきました。 この展示はかつて大使館として使われていた建物を、 現代アートの展示場所として再生させようという試みのもとで行われた企画です。 そもそも「大使館の土地」というのは極めて特殊で、 現在旧フランス大使館が建っている場所も、 日本に存在しているにもかかわらず「外国」と見なされていた土地でした。 このような、かつては別の国によって所有されていた空間が、 一時的に「誰のものでもない場所(*)」 として存在している事そのものを 現代アートのコンテクストとして描くことはできないだろうか、 というのが今回の展示の大きなテーマだったように思います。 (*実際には土地の所有は日本の民間企業に移っています) 「誰のものでもない場所」というのは 一
デジタルオイルペインティング展は、油絵描画シミュレータ(OPS)の研究成果の発表展。藤幡正樹をプロジェクトリーダーに東京芸大藤幡研、佐藤研、東大池内研、東工大中島、斉藤研、近畿大岡崎研の共同プロジェクトで、人間の描画行為の基礎的な理論の抽出を目的とした四つの研究のうちの一つ。 詳しくは http://www.mxa21.jp/j/ http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2009/crest/crest_ja.htm のサイトを参照してください。 1月17日のシンポジウムのメモです。 以下の内容は個人メモであり、主観、聞き間違えなどはご了承ください。 第一部:藤幡正樹 佐藤一郎 斎藤豪 藤幡 今回の研究では、美術の問題だけではなく、コラボレーションをいかに行うのかという問題もある。美術と工学のコラボレーションでは、テクノロジーの成果をアートがデモンスト
私の原稿では毎回5つ星による評価をつけていきます。 白い☆が評価点。 8月15日に観た展覧会。 観た感想 ☆☆☆☆☆ 《mimio-Odyssey》 DVD 11分30秒 2005年© KONOIKE Tomoko Courtesy:Mizuma Art Gallery観終わったとき、壮大なドラマのなかをくぐり抜けたような、本を一冊読んで綴じたときのような爽快感を味わいました。ワクワクとゾクゾクがある。 ネタばれするので書きませんが、インタートラベラーというタイトルで旅の道程になぞらえられているこの展覧会は、進むにつれ核心へと近づいていく感じなのですが、とりわけクライマックスなどは展示室に入った瞬間にちょっとしたサプライズ感もあり、ゾクリとすること受けあいです。 これまでの鴻池朋子展の中でも最も規模の大きい、回顧展と言っていいであろう今回の展覧会にかける作家の気合の入りようが伝わってきまし
私の原稿では毎回5つ星による評価をつけています。 白い☆が評価点。 7月25日に観た展覧会。 観る前の期待 ☆☆☆★★ 観た感想 ☆★★★★ なぜすでにトーキョーアートビートには名和晃平「L_B_S」展のレビューがすでにあるのにまた、と思われるかもしれない。 でも僕はむしろ3つくらい同じ展覧会についてのレビュー記事が並んでいたら比較できて面白いのではと思っている。個人的には今回の展覧会を見て「良くなかった」派だが、他の方の異論も聞いてみたい。 少なくとも僕の見方ではまだ名和晃平はもてはやすほどの実力作家ではない。 というかあの、作家自身によるものと思われる出品作品解説に対するコメントを載せたリーフレット、あれで僕のなかの名和晃平というメッキは剥がれ落ちた。 説明書を見る前はいろいろ自分なりに膨らませて見ていたんだけど、ついそれを読んでしまった後は、「ああ、言いたいことはその程度のことなのか
1975年生まれの名和晃平は、「表皮」と「セル(細胞)」を概念とした作品を発表し、着実にキャリアを積み重ねて来た。その代表的な作品シリーズの新作が、メゾン・エルメスで開催されている。展覧会タイトル「L_B_S」は、彼が今回展示に選んだ作品シリーズ、Liquid、Beads、Scumの頭文字を取ったものだ。今回の個展は、会場であるガラスブロックで覆われたメゾン・エルメスの建物そのものが、彼のコンセプトに近いともとられ、それだけここでの展示は構成段階から塾考を要したという。 会場に入って最初に出会うBeadsの新作は、透明球に覆われた巨大なElk(オオシカ、ヘラジカ)。水晶だという、ひときわ大きな球体が目立つ。それがレンズの働きをして、鹿の毛並の表面が顕微鏡で覗いたように拡大され、不思議な知覚をもたらす。ビーズで覆うことで「表面のリアリティを吸い取っている」と彼は言うが、ビーズに覆われたモノは
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