◆松崎一葉・筑波大教授に聞く(上) 仕事を苦役にするのは、長時間労働だけではない。仕事はできるものの、部下を次々つぶして出世していく「クラッシャー上司」もそのひとつだ。その危険性を著書「クラッシャー上司」(PHP新書)で指摘した筑波大医学医療系産業精神医学・宇宙医学グループの松崎一葉(いちよう)教授(56)に、クラッシャー上司の傾向と対策について聞いた。 (三浦耕喜) 松崎教授がクラッシャー上司の存在に気づいたのは、十五年ほど前。某大手広告代理店に赴いた時のことだ。 メンタルヘルス対策で招かれたはずだが、居並ぶ社の幹部の表情は渋い。同席した常務が言った。「メンタルヘルスなんてやめてくれ。俺は部下を五人つぶして役員になったんだ」。松崎教授の中でクラッシャー上司の概念が生まれた瞬間だった。 クラッシャー上司とは何か。松崎教授は「一言で言えば、部下を精神的につぶしながら、どんどん出世して