日本の教育は、数々の問題を抱えている。しかし、今回の教育基本法改正による教育の改善は期待できないと思う。逆に今回の改正で、日本社会が不寛容で窮屈になる可能性がある。 今回の基本法改正の背景には、これまで経済成長や終身雇用を前提としてきた日本の地域社会や家庭が、維持できなくなったことがある。お父さんが終身雇用だったから30年ローンで家を買えたし、専業主婦も存在できたし、いい大学に入ればいい企業で終身雇用してもらえると皆思っていた。地域社会も、商工会や農協で票をまとめて自民党の政治家に入れれば、見返りで公共事業が降ってきた。 ところが90年代の経済停滞と構造変動で、そういう家庭や地域社会のあり方は成立しなくなった。商工会や農協はガタガタになるし、偏差値の高い大学に入っても終身雇用してもらえる保証もなくなった。となれば、子供の学習意欲も落ちる。こうした状況の中で、何かがおかしいと政治家も庶民も薄