佐々木正美先生 講演会の記録 「わたしの中の自閉症療育論の歴史―自閉症の人々と30余年」 東京大学精神科児童部デイケア研修医時代(1966〜) 私は1960年代の中頃から自閉症の人に出会い始めました。私が大学に行きましたのは遅く、30歳を過ぎてからです。新潟大学の医学部を卒業して、東京大学の精神科で研修医としてトレーニングを受けました。 当時、東京大学の精神科には、児童部デイケアというものがありました。就学前の児童が対象でしたが、実は学齢になったお子さんがたくさんいらっしゃいました。と申しますのは、当時は、就学猶予・就学免除という制度が残っていたからです。当時は、自閉症のお子さんは、御両親が非常に強い御意志を示されて、そして周囲のバックアップがあって、普通学級にお入りになるという方がごく一部いらっしゃっただけでした。今思うと、かなり高機能の方です。あとの方は殆どが就学猶予でした。そし