(戻る) 本当は怖い「道成寺」 〜「京鹿子娘道成寺」 1)道成寺説話について 謡曲「道成寺」は「本朝法華験記(ほんちょうほっけげんき)」第129紀伊国牟婁(むろ)郡悪女の話などの道成寺説話を本説としたものですが、説話をそのままに劇化したものではなくて、その後日談の形になっています。 紀州日高寺(道成寺)で長らく無くなっていた釣鐘を再興することになりました。その鐘供養の日に、僧侶は「仔細あって女人禁制なので決して一人もいれてはならない」と能力(のうりき・寺男)に命じます。ところが、そこへひとりの女性がやってきて拝ませてほしいと頼みます。能力は女が白拍子だと聞いて、舞を舞えばなかに入れようと言います。白拍子が舞ううちに鳥帽子を落とすと、鐘が落下して白拍子は鐘のなかに隠れます。やがて、鐘が上がるとなかから蛇体が現れるのです。僧侶はかつてこの道成寺で起こった不思議な出来事を語り始めます。僧侶がこの