都市伝説のような謎の列車の内部に潜入すると、そこには見たこともない「寝台車」があった。13人の乗客と新鮮な海の幸を乗せた鮮魚列車は、一路大阪へとひた走る。途中停車駅は特急並みに少なく、ドアの開閉時間もわずか1秒!鮮度のためなら停車時間も惜しむのか。と思いきや、どうも実態はそうでもないようで…。半世紀に及んだ鮮魚列車の知られざる全貌がついに明らかになった。 (大竹直樹) 2両目は「寝台車」 女性行商人たちの笑い声が響く最後尾の3両目から真ん中の2両目に移ると、雰囲気は一転、車内は静まり帰っていた。ここはさしずめ「寝台車」だ。 発車直後から、2人の男性がロングシートの上で寝袋にくるまり、寝息を立てている。堂々とロングシートに横になれるのも、鮮魚列車だけの特権だ。 伊勢志摩魚行商組合連合会の浜田吉一会長によれば、鮮魚列車の運転が始まった昭和38年当時は荷物が天井まで積まれ、毎日100人以上が利用