県立高校の日本史教科書をめぐり、混乱が起きている。実教出版の教科書を使用したいとした県立高校28校に県教育委員会が再考を促し、全校が別の教科書に変更したのである。 従来、高校では各校が希望する教科書を選び、管轄教委が学校ごとに採択してきた。希望が覆った前例はないという。義務教育期間の終了後に通う高校は、学校ごとの個性がより際立つ。実情に合わせて現場が選んだ教科書が使われるのは、理にかなっていると言えよう。 ところが今回、高校の決定に県教委が介入し、意向を強引に押し付けた。しかも一部の校長から、再考を求められた際に外圧を受ける危険性を示唆するような発言もあったという批判すら出ている。なりふり構わぬ印象の対応は、いかにも異様ではないか。 県教委が排除しようとしたのは、国の検定にきちんと合格している教科書である。こうした行動は、検定制度を形骸化するものと受け取られても仕方あるまい。 同社