戦後日本の防衛政策を大きく転換する安全保障関連法。衆参両院で通算200時間超に及んだ審議では、憲法9条との整合性などが厳しく問われた。しかし、政府側の説明は抽象論に終始したため、自衛隊の活動拡大への歯止めはなお不明瞭で、国民の不安が払拭(ふっしょく)されたとは言い難い。 ◇揺らぐ法的安定性 「自衛のための必要最小限度の武力行使しか認めておらず、従来の政府見解の基本的論理は全く変わっていない」。安倍晋三首相は質疑で、安保法制の合憲性をこう強調した。 歴代政権は、集団的自衛権の行使は「憲法上許されない」との立場を取ってきた。安倍政権は昨年7月の閣議決定で、こうした憲法解釈を変更。他国への攻撃が発生し、日本の存立が脅かされる明白な危険がある場合(存立危機事態)は、集団的自衛権を行使できるとした。 根拠としたのは、国の存立を守るための「必要な自衛の措置」は認められるとした最高裁砂川事件判決