映画『花束みたいな恋をした』(1月29日公開)のヒットが続いている。「傑作」との呼び声も高い同作の魅力について、映像作品に造詣が深い小説家・榎本憲男氏が考察する(*本記事は作品のネタバレを含みます。記事の後半で映画の内容に触れていますのでご注意ください)。 * * * 菅田将暉と有村架純が出演する『花束みたいな恋をした』(脚本:坂元裕二 監督:土井裕泰)が爆発的なヒットを記録し、なおも快進撃を続けている。業界が驚いているのは、この大ヒットが、インディペンデントの制作会社が企画し、大手ではない配給会社によって達成されたという点だ。さらに、すでに成功した漫画や小説の原作によるものではなく、オリジナル脚本による恋愛映画であることも注目を集めている。 同じ興行収入に到達したとしても、「順当にヒットするべくしてヒットした」や「ノーマークだったがヒットした」や「まさかここまでとは思いもよらなかった大ヒ