現代における風俗現象について調査・研究を行っている研究会の会報第20号(ゲーム特集)に収録された論文。著者はルールの翻訳を手掛け、『スクエアオンセール』など自身の作品もある沢田大樹氏。ブログ「実録:食卓遊戯密着大本営発表廿四時」で学究的な考察を長年にわたり続けてきた。この論文は2019年に明治大学で開かれた「新風俗学教室」での発表「商環境の変化がユーロボードゲームの内容に与えた影響について」をまとめたものである。 本論文においてユーロゲームは次のように定義される。ひとつの「芸術形式」と捉え、批評される対象になっていることでマス市場向けボードゲームと区別する。また、ユーロゲームはもともとドイツゲームであり、アメリカからの視点で「ユーロゲーム」と呼ばれるようになったという。 「1970年代後半~80年代の西ドイツにおいて、ゲーム出版社からマス市場向けに発売されるボードゲームが批評の対象になるよ