<アメリカのアジア重視路線> 10月14日のニューヨーク経済クラブにおける演説で、ヒラリー・クリントン国務長官は「世界の戦略、経済的中枢は東へと移動しつつある」と表明し、アメリカのアジア・シフト路線を明確に打ち出した。国務長官の発言は、アジア諸国が中国の台頭、そして、アメリカのアジアへのコミットメントの先行きを懸念するなか、「太平洋国家としてのアメリカの役割」を再確認しようとするワシントンの試みの一環だった。バラク・オバマ大統領も、アジアの首都を歴訪し、ハワイでのAPEC首脳フォーラムのホストを務める際に、このメッセージを表明する予定だ。 この地域政策の中枢は貿易領域にある。米韓自由貿易協定への米議会の承認を取り付けたオバマは、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への合意をとりまとめることで、アメリカのアジアにおける経済的役割を明確に確立したいと考えている。現在、オーストラリア、ブル