ぼくも、他人の葬式で、泣いている人になってしまった。 銀行で営業の仕事をしていると、お客様はご高齢の人が多い。その分、今までに何度か、お葬式や線香を届けてきている。 月に1度ぐらい、お話をさせてもらっていた人が亡くなられた時、ぼくは人の死というのは、本当に突然なんだなと痛感する。 お客様の死は、ぼくたちの業績に直結する。 定期預金は出ていって、息子さん達が持って行く。運用をしてくれていた大きなお客様が亡くなると、来月から助けてくれる人が1人いなくなる。 相続はピンチ、相続はチャンス すごく苦手な考え方だ。ぼくはどうして、この人のお葬式に出席しているんだろう。何を考えながら、手をあわせているんだろう。 きっと、ご家族から思われていることは、決まっている。 「お金が目当てなんでしょ」 人の目は、口より物を言う。 仕事上は、やっぱり本当に自分が追い込まれるし、今まで以上にピンチになるのは事実だか