日本の医療システムは、公的医療費が抑制される中でも、今日まで現場の医療関係者の努力で支えられてきた。しかし、これまでの長時間・過重労働に加え、医療技術の進歩、医療安全や丁寧な病状説明に対する期待の高まりなどで、特に勤務医の労働環境は悪化するばかりである。産科・小児科、救急医療を始め全国で勤務医不足が顕在化し、医療崩壊が広がっている。日本の医師の絶対数不足は、国際比較でも明らかで、特に勤務医不足は深刻である。今後、団塊世代の高齢化で医療需要が増大すれば、大量の医療難民が発生する。こうした状況の中、政府は「日本の医師は不足している」と認め、さらに超党派の議員連盟が発足し医療崩壊阻止に立ち上がり、厚生労働大臣は「従来の閣議決定に代えて、医師養成数を増加させる」と表明した。日本より先に同様の医療危機に直面したイギリスでは、既に医学部の定員を五九%も増やしている。必要な予算措置を採り、実効ある対策を