「隠された皇室人脈 憲法九条はクリスチャンがつくったのか!? (園田義明)」は2008年に出版された書籍で新刊ではない。出版当時気になっていながら読みそびれていたものを積ん読山から取り出して読んだ。戦後史に関心がある人にとっては一種のリファレンス本としての価値もあるだろう。議論については非常に興味深いものだが、異論も多いのではないかとは思う。 副題が「憲法九条はクリスチャンがつくったのか!?」と刺激的で、内容もそれに該当する展開がある。これを歴史学的な意味での新説とするにはやや弱いようにも思えるが、憲法策定に関わり「戦後日本の設計者―ボートン回想録」(参照)の著者でもあるヒュー・ボートン(参照)が九条に影響を与えたとするのは、それなりに受け入れられる話ではある。しかし、ボートンがクエーカーであり、クエーカーの信条が反映しているかとなると歴史議論としては弱いだろう。また、本書で言われてみて気