高橋広行記者 東日本大震災による津波で、1本を残して流された岩手県陸前高田市の高田松原。 その惨状に心を痛め、流された松の木でバイオリンを作ろうと思い立った楽器職人の男性がいます。 被災した人たちの心を癒やす音色に仕上げたいと制作を進めてきたバイオリンはまもなく完成し、震災から1年となる今月11日に、現地の追悼式で演奏されます。 被災地にどんな音色が響くのでしょうか。 社会部の高橋広行記者がお伝えします。 陸前高田の光景に決意 ニュース画像 「本当にここに街があったのか」と思わざるをえませんでした。 津波で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市を、私が初めて取材に訪れたのは去年8月。 荒涼とした光景を目にして感じたのは、果たして自分に何ができるのか、という大きな戸惑いでした。 あちこちにうず高く積み上げられたがれきの山。 土台だけを残して延々と広がる家々の跡地。 7万本の松