学習院大学経済学部教授 過去最大水準に達している待機児童問題の解決をはじめ、保育・子育てに関する制度改革はまさに喫緊の課題であるが、民主党政権が進めている改革が現在、完全に暗礁に乗り上げてしまっている。 制度改革を検討している政府の「子ども・子育て新システム検討会議」は11月はじめ、約1年間の長い議論の末の結論として、10年後までに、現行の幼稚園と保育園をすべて廃止し、「幼保一体化」施設である「こども園」に全てを統一するという改革案を提示した。これは単純に言えば、幼稚園の経営の自由を奪って、全て保育園にしてしまうという大改革案である。 すなわち、これまで3歳以上の児童に対して1日4時間程度の教育を行っていた幼稚園にとっては、0、1、2歳児の保育を新たに実施し、3歳以上児についても早朝から夜間までの保育を行うことが必須となる。また、保育士や調理師、看護師等を新たに雇い、調理施設を新設するなど
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