上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長) 【まとめ】 ・福島・伊達市の住民被曝調査論文が個人情報の扱いでも批判浴びる。 ・全住民の同意取得は理想だが、震災後の混乱を知らない人の戯言。 ・後世に情報が伝わらない論文撤回は妥当か。市民に問いかけを。 【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=43900でお読みください。】 福島県伊達市の住民被曝を調査した論文が批判を浴びている。問題視されているのは、同意を得ていない2万7,233人と不同意の97人のデータが解析に利用されていたこと、および累積線量を3分の1に過小評価していたことだ。論文の著者は早野龍五・東京大学理学系研究科教授(当時)、および宮崎真・福島県立医科大学(福島医大)助教(当時)だ。
高エネルギー加速器研究機構の黒川眞一・名誉教授に聞く 藍原寛子 東京電力福島第一原発事故後、放射能の拡散と汚染に伴う住民の被曝影響を調べるため、福島県伊達市が市民にガラスバッジを配布し、収集した被曝線量データを用いた2つの研究論文が、社会問題に発展している。こうした研究は、人を対象とする医学系研究で、研究者は研究を開始する前に、被験者(研究の対象となる人)に十分に説明をおこなった上で、同意を取得することが義務づけられている。 一つは国際専門誌Journal of Radiological Protection(JRP)に掲載された「第一論文」 “Individual external dose monitoring of all citizens of Date City by passive dosimeter 5 to 51 months after the Fukushima NPP
◆◆◆ 「反緊縮」というトレンド ――いま欧米で沸き起こっている「反緊縮」というトレンドは、これからの日本経済を考えるうえでも重要となるキーワードの気がします。先生は、昨年出された『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』(ブレイディみかこ、北田暁大共著)の中で、そんな欧州左派の新しい動きを「レフト3.0」と名付け、大きな話題を呼びました。いま世界では何が起きているのでしょうか。 ©末永裕樹/文藝春秋 松尾 近年、欧米の左派からは「反緊縮」の経済政策を掲げて民衆の強い支持を得ている、新たな潮流が沸き起こっています。具体的には、まず筆頭に挙げられるのがイギリス労働党を率いるジェレミー・コービンです。それまで労働党の指導部がEU当局や大企業といったエスタブリッシュメントばかりに目を向けて緊縮政策をとっていたことに、民衆のあいだでは根強い不満がありました。2015年の党首選のときに「人民の量的緩和」を掲
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