国が2021年末に公表した洋上風力発電の公募結果を巡り、関係各者に衝撃が広がっている。三菱商事の共同事業体が他者と圧倒的な価格差で3海域とも勝ち取ったからだ。見積もりの方法や他の海域との組み合わせ、販売方法など、競合他社は抜本的な戦略見直しを迫られる可能性がある。 3海域のうち、最も安かったのは秋田県由利本荘市沖の1キロワット時11.99円。2番目に安い応札価格とは5円以上の開きがあったとみられる。競合他社からは「風車代をゼロ円にしても勝てない」「(もし落札価格で応札すれば)年数十億円の赤字が出る」と、悲嘆の声が飛び交う。 安さの秘訣(ひけつ)は何か。複数の関係者が指摘するのは、洋上風力の再生可能エネルギー価値だ。PPA(電力購入契約)や小売りを通じて環境価値を評価する需要家に高値で売る戦略が浮上している。三菱商事らは公募でAmazon、NTTアノードエナジー、キリンホールディングスと組ん