米アップル社が同社CEOのスティーブ・ジョブズ氏の名前で発表した“Thoughts on Music”(音楽に関するいくつかの考察)という書面が話題を呼んでいる(参考記事)。ジョブズはなぜこのタイミングで、このコメントを出す必要があったのだろうか? 音楽配信ビジネスに詳しい津田大介氏にその理由をうかがった。 ──なぜジョブズはこのような発言をする必要があったのか? ひとつの要因には、欧州対策があると思う。米国ではiPodとiTunesのエコシステムが大成功を収めているが、その一方で欧州ではアップルのDRMに対する風当たりが強くなってきている。 昨年は、フランスでDRMの公開を盛り込んだ法案が提出されたり、ノルウェーの消費者団体が「iPod以外で聴けないDRMがかかったiTunes Storeのコンテンツは違法」と主張するような出来事が起こった。こうした風当たりの強さに加えて、欧州ではiTu