海洋研究開発機構JAMSTEC(ジャムステック)の研究者、高野淑識さんは、「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルを分析する研究者の一人。なぜ、海の専門家が、小惑星の物質分析を行うのか? 答えは、「リュウグウは、海や地球が誕生する前の水や有機物のリアルな姿を調べられる唯一のチャンス」であるから。そこは、水と炭素が織りなす無生命的な現場、そして非生命的な物質の進化の謎を解く究極の現場である、という。 海のものでも地球外のものでも、物質を等しく見る。 火球となってクーバーペディ(オーストラリア)上空を通過する「はやぶさ2」の再突入カプセル ──高野さんは普段、深海で採取した岩石や地球内部に含まれている微量のガスや有機物を分析されています。そんな高野さんにとって、リュウグウの物質分析を担うということはどんなお気持ちでしょうか? 高野 海や地球が出来る前の様子、そして、生命が生まれる