たぬきのたぬ子は嫁に行きたかった。しかしなかなか叶わない。 彼氏のポン吉にその気がないからである。 たぬ子はポン吉にわけを聞いた。 「どうしてあたしを嫁にもらってくれんの?」 「そりゃあおめぇ、オラの所に来たら、こき使われるからだぁよ」 「なんでもするよ、あたし。ポン吉さんと一緒にいれるなら、なんでもするだよ!」 「おめえがそこまで言うなら・・・わかった。じゃあちょっとついて来い」 そう言ってポン吉は倉庫に向かった。 「今からこの扉開けるけんの。驚くなよ」 ポン吉は意を決して扉を開けた。 するとそこにはなんと、タヌキの置き物がズラーッと並べてあった。 「な、なんだいこれは!?」 「これはの、信楽焼のたぬきの置き物って奴じゃあ」 「信楽焼!?」 「そうじゃ。オラの生まれは、信楽じゃ」 「信楽焼のたぬき・・・確かに人間の家の前でよく見かけるけど、なんでここに?」 「オラはこのたぬきのモデルとな
![たぬきの嫁入り](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b1638cdb5807a4788e4ba3c1109a984166e095fc/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fanond.hatelabo.jp%2Fimages%2Fog-image-1500.gif)