パスカルは「人間は死と不幸と無知を癒すことができなかったので、幸福になるためにそれらのことについて考えないことにした」と言った。これは簡単に「根源的に、不幸にならないために考えることにした」と翻訳し直すならば、ロックが反射させるファッション性は「幸福を目指す」というより、「不幸を避ける」為の何かに転回する。この場合のファッションは、時代の風俗性を描写する鏡でもあるから、「流行」と捉えるのも、そのまま今様に「服装」と捉えても問題は無いと思う。 この10年、モード・ファッション界隈で「ロック」の文字を見ない事が難しくなり、ジョイ・ディヴィジョンやらキース・リチャーズやラモーンズ、ボブ・ディラン、果てはカート・コバーンからヴェルヴェット・アンダーグラウンドまでネタ「探し」に奔走しているのはそこまで現場を知らなくても、感得出来る。 衣服史的に、昔、「衣装とはその人の生業を示すアウラ」だった。騎士、