近代天皇制の文化史的研究―天皇就任儀礼・年中行事・文化財 (歴史科学叢書) 作者: 高木博志出版社/メーカー: 校倉書房発売日: 1997/02メディア: ハードカバー クリック: 19回この商品を含むブログ (4件) を見る今回取り上げる「初詣の成立」を含めた本書におけるいくつかの考察に共通するテーマは「京都の天皇から日本の天皇への移行」である。 近代の日本において急速に整備された官僚制がその権威の拠り所としたのは天皇であるが、その天皇の権威もまた、地域によって差のある不均質なものであった。特に京都には朝廷の領地が集中していたこともあり、「近世中期以降の民衆にとって、ある意味では民俗的信仰の対象であった」(飛鳥井雅道)という状態が続いていたのである。それを東京遷都によって断ち切るとともに、全国民に共有される天皇像を創り上げること。これが明治初期から中期にかけての重要な課題であった。 その