【ソウル=牧野愛博】朝鮮王朝が所蔵していた図書や王への講義に使われた書物が、日本の宮内庁に保管されていることがわかった。1910年に日本が韓国を併合後、朝鮮総督府を通じて日本に流出したとみられる。宮内庁にあることがすでに確認されている同王朝の儀典書「朝鮮王室儀軌(ぎき)」と同様、韓国側から返還を求める声が高まることが予想される。 所在が判明したのは、「帝室図書」と呼ばれる朝鮮王朝の図書のうち、当時の医学や習慣、軍の歴史などを紹介した書籍38種類375冊と、歴代の王が教養を高めるために受けた講義「経筵(けいえん)」に使われた書物。昨年、韓国政府が調査を実施し、宮内庁に保管されていることを確認した。 1392年に建国された朝鮮王朝の初期のものもあり、韓国で国宝に次ぐ重要文化財「宝物」に指定されている医学書と同種類のものや、海外に散逸して全体像がわからない書籍集も含まれている。 日韓両政府