広島市の平和記念公園にある原爆慰霊碑には、「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」と刻まれている。碑文を考案した雑賀忠義広島大学教授が、原文と英訳文を毛筆で併記した色紙が、最近市内で見つかった。 ▼英訳文では「過ちは 繰返しませぬ」の部分の主語は、「We」となっている。米軍による原爆投下という「過ち」の責めを、どうして日本を含めた「われわれ」が負うのか。 ▼昭和27年の碑の建立以来、「やりきれぬ憤懣(ふんまん)」を抱いてきた日本人の一人に、俳人の飯田龍太がいる。雑賀の個人的な思いから生まれた碑文を受け入れること自体、「慰霊にそむくのではなかったか」という(『紺の記憶』)。 ▼今年の平和記念式典には、初めてルース駐日米大使をはじめ、英仏の代表が出席する。広島市の秋葉忠利市長が意気込む気持ちもわかる。とはいえ平和宣言で、「(米国の)核の傘からの離脱」や「非核三原則の法制化」を日本政府