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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (5)

  • 「いま・ここ」から離れる『世界文学アンソロジー』

    日ごろ「自分」を機械的にやっていると、外面の「自分」が当たり前になる。仕事上の立場だとか、SNSで被っているキャラといった、日常的に使い分けている「自分」が、内面のわたしを乗っ取りはじめる。 そんな「自分」を異化するため、他人の物語を聞く。しかも、できるだけ「いま・ここ」の自分から離れたものがいい。異なる言葉、違う文化の物語を聞くことで、自分にとっての当たり前が、当たり前でないことを思い知る。 『世界文学アンソロジー』を手にすると、このアタリマエじゃ無い感が浮彫りにされてくる。 固まった「自分」に一撃を加える たとえば、フランツ・カフカの「夏の暑い日のこと」がそう。 わずか2頁の掌編なのに、常識が丸ごと壊される感覚を味わえる。何も悪いことをした覚えがないのに、突然逮捕される『訴訟(審判)』を思い出させる。あるいは、自分の身の上に、何か重要な間違いが起きつつあるのに、それに関わらせてもらえな

    「いま・ここ」から離れる『世界文学アンソロジー』
  • 結婚は天国か地獄か

    どちらの答えもありうるし、どちらの答えも無傷じゃ済まされない。せめては先人たちの教訓を糧として、同じ轍を踏まないようにと願うのだが、叶ったためしはない。 ここでは、結婚がはかどる作品をいくつかご紹介しよう。読むだけで経験値を積める。踏まなくてもいい地雷、しなくてもいい喧嘩を避け、なるべく望ましい結婚になりますように…… いきなり真打、トルストイ『アンナ・カレーニナ』。結婚前でも後でも、これ読むと飛躍的にレベルが上がるので、強くお薦めする。 人生を滅ぼした女から、何を学ぶか。 「女とは愛すべき存在であって、理解するためにあるものではない」といったのはオスカー・ワイルド。これは、夫婦喧嘩という名のサンドバック状態になってるとき、かならず頭をよぎる。 結論から言う。論理的に分かろうとした時点で負け、相手の感情に寄り添えるならば、まだソフトランディングの余地はある。 しかし、アンナの夫と不倫相手は

    結婚は天国か地獄か
  • 知の科学へようこそ『教養としての認知科学』

    知的システムと知能の性質を研究する認知科学の入門書。人はどのように世界を認識しているか? より知的な存在を作り出すことができるか? 「考える」とは何か? そのとき何が起きているのか? といった疑問を抱いている人にとって、格好の入り口となる一冊。 なぜなら、この領域は下記のごとく広範囲で学際的だから。むしろ、「知の科学」はつかみどころがなさすぎて、いったん扱える範囲に切り分け、それぞれの専門分野から光を当てないと、攻略すら難しい。 人工知能(ニューラルネット、コネクショニズム)★ 神経科学(認知神経科学、脳科学) 哲学  (心の哲学、認識論)★ 心理学 (認知心理学、進化心理学、文化心理学)★ 言語学 (生成文法、認知言語学) 人類学 (認知人類学、認知考古学) 社会学 (エスノメソドロジー、ナラティブ分析) 書は、青学・東大の人気講義を書籍化したもので、「知の科学」を多角的に紹介している

    知の科学へようこそ『教養としての認知科学』
    usausamode
    usausamode 2016/07/07
    最近スゴ本チェックしてなかったな
  • 『世界システム論講義』はスゴ本

    「なぜ世界がこうなっているのか?」への、説得力ある議論が展開される。薄いのに濃いスゴ。 世界史やっててゾクゾクするのは、うすうす感じていたアイディアが、明確な議論として成立しており、さらにそこから歴史を再物語る観点を引き出したとき。「こんなことを考えるの私ぐらいだろう」と思って黙ってた仮説が、実は支配的な歴史観をひっくり返す鍵であることを知った瞬間、知的興奮はMAXになる。 たとえば、「先進国(developed)」と「途上国(developing)」という語に、ずっと違和感があった。「後進国」は差別的だからやめましょうという圧力よりも、この用語そのものが孕む欺瞞を感じていた。 なぜなら、この語の背景として、近代化・工業化が進むというプロセスがあるから。なんなら、進化のメタファーを使ってもいい。産業構造が一次から高次に転換するとか、封建社会から資主義社会に"進化"するといった欧米の経済

    『世界システム論講義』はスゴ本
  • この本がスゴい!2015

    「いつか読む」は一生読まない、いつ読むの? 人生は短いのに、読みたいが多すぎる。残り全部を注いでも、いまのリストは読みきれぬ。己の変化を確かめる、再読リストも増えている。今際に後悔しないため「読んでから死ね」が優先なのに、積まれるスピードさらに上。を通じて出会った人から教わったがまたスゴい。オフ会は危険な場、積読山がマシマシだ。それでも読むしかない、それも今しかない。 「このがスゴい!2015」は、この「今」を積み上げた一年間からピックアップしたもの。ネットや読書会を通じてお薦めされた作品もあれば、書店や図書館で「呼ばれた」もある。非常に愉しいのは、リアルで話し込んでいると、記憶の底からリレースイッチのようにタイトルが"発火"してゆくところ。完全に忘れてた、思いもよらない作品につながってゆく様は鳥肌もの。 世界は対話で拡張する。わたしが知らないスゴを"発火"させる、あなたが凄い

    この本がスゴい!2015
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