「どうしてこんなドツボにはまっちまったんだ?」 主人公リーガン・トムソンが白いブリーフ一丁で座禅を組んで宙に浮いている。……あ、宙に浮いてる理由は後で。 場所はどこかの楽屋。トムソンはかつてハリウッド超大作『バードマン』の主演スターだったが、その後は鳴かず飛ばず。妻子にも逃げられた。それが60歳をすぎた今、自ら製作・演出・主演するブロードウェイの舞台劇に再起を賭けている。 トムソンを演じるは、かつてアメコミのスーパーヒーロー、バードマンを映画で演じたスターだったが、その後、鳴かず飛ばずのまま60歳を越えた。演じるのはマイケル・キートン。彼自身も、ティム・バートン監督の『バットマン』(89年)で主人公ブルース・ウェインを演じた。 『バードマン』の監督はアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。彼の映画はいつも暗い。『アモーレス・ペロス』では都市の最下層で貧しさにあえぐ若者が金のために愛犬を闘犬