林 純子(はやしじゅんこ) ムスリム違法捜査弁護団 弁護士 はじめに 日本にいるムスリムの数は、十数万人と言われている。そのうち、日本人ムスリムは1万から2万人なので、在日ムスリムのほとんどが外国籍である。 テロ対策の必要性が声高に叫ばれる中、外国から日本にやって来たムスリムたち、あるいは、日本で生まれ育ったムスリムの子どもたちは、日本社会でどのように扱われているのだろうか。ある事件を通して考えてみたい。 公安警察による捜査 2010年10月28日、警視庁公安部外事三課の捜査資料114点がインターネット上に流出した。この捜査資料から判明したことは、日本の公安当局が、ムスリムであるということだけを理由として在日ムスリムの全員を潜在的テロリストとして監視し、詳細な個人情報を収集してデータベース化していたことである(以下、ムスリムであることだけを理由として行われる捜査を「プロファイリング捜査」と