2007年7月、熊谷空襲被害者の新井賢二郎さんは、米イリノイ州カンカキー市で、元B29機長のビビアン・ロックさん(右)と初めて対面した(新井さん提供) 「われわれは攻撃目標に向かっているのに、ニューヨークでは対日戦勝を祝っている」−。埼玉県熊谷市の市立熊谷図書館で開かれている戦後六十五周年企画展で、終戦前夜の熊谷空襲に参加した元米軍パイロットの証言と資料が初公開されている。提供したのは、空襲被害者の新井賢二郎さん(76)=中国広東省在住。証言は、元パイロットとの交流を通して得られたものだった。 (さいたま支局・柏崎智子) 一九四五年八月十四日の深夜、新井さんは十一歳で熊谷空襲に遭遇。B29爆撃機の轟音(ごうおん)が響き渡り、青白く光る焼夷(しょうい)弾が家々を焼く中を逃げ延びた。市街地の星川には多くの遺体が浮き、友人の変わり果てた姿もあった。