その小説家の名は、伴名練。兼業作家であるため、完全に覆面を貫き表舞台には一切姿を見せない。SNSなども現時点ではやっていない。 しかし、2019年、初の単著となった作品集『なめらかな世界と、その敵』(早川書房)は、いち早く手に取った関係者が一様に絶賛したこともあって発売前から重版がかかるほどに。刊行後もSNSを中心にその評判が広がっていき、大ブレイク。SF好きはもちろん、SFというジャンルに親しんでこなかった層にも広く波及した。 京都の大学出身であることを明かし、その紙版単行本の7刷までの印税総額330万円余りを、当時寄付口座を開設していた京都アニメーションに寄付した。 翌2020年からは、伴名練のSF愛の結晶として、古今東西の名作や作家ごとの傑作群を編んだアンソロジー『日本SFの臨界点』シリーズを早川書房から怒涛の勢いで刊行している。 そして2022年、『なめらかな世界と、その敵』が文庫