第71期王座戦の挑戦者決定トーナメント準決勝で、藤井聡太竜王・名人(20=王位・叡王・棋王・王将・棋聖を合わせて七冠)と羽生善治九段(52)が6月28日に東京の将棋会館で対戦した。藤井は「八冠制覇」、羽生はタイトル獲得「100期」に向けて、ともに夢をつなぐ大一番だった。注目をにわかに浴びている王座戦の歴史、羽生の王座戦での抜群の実績、新旧の七冠対決となった藤井-羽生戦の激闘について、田丸昇九段が解説する。【棋士の肩書は当時】 王座戦の創設時に学士棋士が発想した「民主的棋戦」 王座戦の創設は1952年(昭和27)で、70年もの長い歴史がある。ただタイトル戦の開催時期が――春の名人戦と秋の竜王戦に挟まれているせいか――あまり知られていない印象がある。そこでまず王座戦の成り立ちについて説明する。 加藤治郎名誉九段の著書『昭和のコマおと』に、王座戦が創設された経緯が書いてある。その内容を抜粋で紹介