序 拙著『西式健康法と触手療法』が実業之日本社から公にされてから、既に二十五年の歳月を経過した。その間、西式健康法は、全国津々浦々にまで普及され、また英語、中国語、独語、仏語等に翻訳されて、遠く海外にまで宣伝された。そのためわたくし自身も亦創始者の責任上、半生の土木工学の職を擲(なげう)って、斯道(しどう)のために挺身することになり、爾来、東奔西走、席温まる暇なく、また招聘されて渡米すること三回に及んでいる。 しかしまた一面に於いては西式健康法が宣伝されるに従って、その依拠する医学理論が、現代医学と対蹠的立場に立っているところから、ある時は官僚の圧迫に遇い、ある時は医界の策謀に会し、わたくしにとっては、一挙手一投足、油断のならぬ二十五年でもあった。しかし、わたくしは最後の勝利は、必ずや正しきものの頭上に輝くことを堅く信じ、また同志諸君の熱烈な後援の下に、全人類の無病生活の大理想に向って邁進