最近のコラムでは、虐待を受けながら育った人の様子について触れています。今回は一見わかりにくいものの、「あれっ、この人は虐待に苦しんできたかな」と思われる様子について述べます。 それは物事の決め方にあらわれます。虐待に苦しんできた人は「早く」「一人で」物事を決めたがる傾向が出ます。俗に「折檻」と呼ばれる類の虐待は、親が虐待をしながら同時に子どもに様々な決断を迫っていることが多く、従って子どもは親の言うことを素早くそのまま飲み込まないと虐待が終わりません。また長年虐待を受け続けていると、困ったときには相談するというやり方も体験できません。その結果大人になってからも、つい物事を素早く、かつ一人で決断しがちになります。熟考や合議が必要な場合でも、いま手元にある情報や想像だけで物事をすすめてしまうため、新たな情報を求めに行こうとしません。それゆえ拙い決断だったことに後悔したり、周囲からクレームが起こ