空気遠近法は、大気が持つ性質を利用した空間表現法です。例えば戸外の風景を眺めてみると、遠景に向かうほどに対象物は青味がかって見え、また同時に、遠景ほど輪郭線が不明瞭になり、対象物は霞(かす)んで見えます。 こういった性質を利用して空気遠近法では、遠景にあるものほど形態をぼやかして描いたり、色彩をより大気の色に近づけるなどして、空間の奥行きを表現します。具体的には、晴天で地上には深緑の山々がそびえるような風景をこの方法で描く場合、その山々の色は遠方に行くほど、深緑から徐々に青味をおび、さらに空の明るい色調へと近づいていきます。また、山の輪郭も遠方の山ほど大気の中に取り込まれるように薄れていくように表現します。 ルネサンス期においては、レオナルド・ダ・ヴィンチも熱心に研究を行ったことが知られています。当時、すでに遠近技法として、線の消失点への収束や、遠くの物ほど小さく見せるなどで奥行きを表現す