体操着姿の5年生たちが順番に、そっと赤ちゃんを抱きかかえていた。泣き出す赤ちゃんをあやそうと、変な顔をしたり、鈴を鳴らしたり。どうしていいのかわからず、赤ちゃんを見つめるだけの子もいた。 富山湾に面した人口約4万4千人の富山県魚津市。約120人が通う市立上野方(かみのがた)小学校は、7月の授業で2組の母子を招き、5年生の児童約20人が赤ちゃんと触れ合った。子どもたちからは「夜泣きの時は眠れない?」「パパに何をしてもらいたい?」などと母親に質問が飛んだ。妊娠や出産の仕組みも習った。 授業は、市が進める少子化対策「こうのとりプロジェクト」の一環だ。命の大切さを学ぶねらいで、6年前から一部の小学校で行ってきたが、今年度から国の地域少子化対策強化交付金を使い、対象を市内の全小中学校に拡大した。 授業後、将来の自分や我が子に向けた手紙を書く取り組みもある。上野方小の子どもはこんな思いをつづった。《私