【衝撃事件の核心】 「私のような人間がなぜ生まれたのか、自分でも理解できない。二度と自分のような存在が生まれないよう、自分を研究材料にしてほしい」 自殺サイトを悪用し3人を殺害した前上博死刑囚は大阪地裁での公判でこう訴え続けたが、7月28日、その望みもかなわぬまま死刑が執行された。だが平成19年に計17回の接見を重ね、前上死刑囚の心理を分析した長谷川博一・東海学院大教授(臨床心理学)は「彼はなぜ自分が異常な性癖を持つに至ったのか、最後は納得していた」と話す。いったいその原因は何だったのか−。 ◇ まずは、前上死刑囚の犯行の概要とその異常な性癖を振り返る。大阪地裁判決などによると、前上死刑囚は17年2月から6月、インターネットの自殺サイトを通じて知り合った大阪や兵庫に住む14〜25歳の自殺志願者の男女3人に、一緒に練炭自殺をするかのようなメールを送るなどして誘い出し、乗用車内で口をふ