AKB48に代表される2010年代の女性グループアイドルシーンについて論じられるとき、その群像劇はしばしば「成長を見守る」ことを旨とするコンテンツとして解釈されてきた。芸能の入口に立つ人々を多く含んだ若年者たちによる表現の魅力のありかが語られるうえで、それはいかにも飲み込みやすい説明ではある。実際、彼女たちのパーソナリティが継続的に享受対象となるこのエンターテインメントにおいて、芸能者として成長してゆくプロセスや物語性が訴求力になってきたことは間違いない。 「成長を見守る」といった視点でグループアイドルを枠付けることは、「未熟さを愛でる」ものとしてアイドルを捉えてゆくことにつながりやすい。加えて、グループアイドルの代表格として存在してきたAKB48が、学生服を着想元にした衣装をたびたび製作したことも、アイドルの表現に若さや未熟さのイメージを結びつける。 AKB48がその多様で繊細なプロダク