いまや、写真は私たちにとって最も身近な表現方法の一つとなった。そのきっかけは、スマートフォンとSNSの登場だろう。誰もがスマートフォン=カメラを持ち歩くようになり、誰もが気軽に写真を全世界に向けて発信している。 “現在、写真は激変のまっただ中にある。写真というものが「地滑り」を起こしていると言ってもいい。「写真」という用語をあらためなければならないとすら思っている。言うまでもなくこれはスマートフォンとSNSによってもたらされた” 著書『新写真論 スマホと顔』(以下、『新写真論』)の序文でそう語ったのは、写真家/ライターの大山顕氏だ。スマートフォン、SNS、自撮り、顔……さまざまな切り口から「写真とは何か」という問いに迫った同書は、2023年日本写真協会賞学芸賞を受賞し、刊行から3年が経過した今、改めて大きな注目を集めている。 この3年の間、私たちを取り巻く環境は驚くべきスピードで変化した。