東京オリンピックが8月8日に閉幕した。コロナ禍で1年遅れの開催となったり、ほとんどの会場が無観客となったり、異例づくしとなった今回の大会。「多様性と調和」がコンセプトのひとつとして掲げられ、ジェンダー、人種、世代などで世界中のアスリートたちが自らの信条を発信する場ともなった。「東京2020」が残したものを振り返りながら、国際プラットフォームとしてのオリンピックの役割を考察する。 東京オリンピックでは多様性が反映され、アスリートが個人の信条を発信する場となった(写真:「Tokyo2020」インスタグラムより) ジェンダー規範の見直し 世の中のジェンダー意識の高まりを反映し、今回のオリンピックは「性の多様性」や「性の扱い」を見直すきっかけとなった。 中でも注目されたのは、ニュージーランドのローレル・ハバード選手(43歳)。オリンピック史上初のトランスジェンダー選手として、ウエイトリフティング女