なぜ『スーパーマリオ』は左から右へ進むのか。第3回目は「物語としてのロジック」について考察してみたい。 ●舞台の下手上手説 これはスーパーマリオの世界を舞台に見立てた説である。演劇などが行われる舞台は客席から見て左(←)が下手(しもて)、右(→)が上手(かみて)であり、それぞれ「下」、「上」という漢字があてられていることからもわかる通り、そこには上下の概念が存在する。 たとえば式典行事の場合、司会者や主催者側の人間は下手側(←)に位置し、ゲストや来賓などのお偉いさんは上手側(→)に座っていることが多い。吉本新喜劇の場合、下手側(←)に必ず玄関があり、上手側(→)が建物の奥、つまり上座となる。したがって主人公は必ず上手側(→)から登場し、旅立つときは下手側(←)へ向かうので、物語の進行方向はマリオと逆の←となる。 この点について、「クッパはマリオよりも強力な敵なので→に位置する」とか「マリオ